ニキビ

2026.01.23 ニキビ

皮膚科専門医が解説|ニキビ治療に使う最新の外用薬一覧【2026年版】

ニキビ治療外用薬大解説

ニキビは思春期だけでなく、大人になってからも多くの方を悩ませる非常に身近な皮膚疾患です。当院でも、年齢や性別を問わず日々多くの患者さまがニキビ治療を目的に来院されます。ニキビは見た目の問題だけでなく、痛みやかゆみ、さらにはニキビ跡として長期に残ってしまうこともあり、早期かつ適切な治療が重要です。

現在、日本の皮膚科では数多くの保険適用のニキビ外用薬が使用可能であり、それぞれ作用機序や得意とするニキビの種類、副作用の出やすさが異なります。本コラムでは、皮膚科専門医の立場から、最新のニキビ外用薬の特徴・効果・使い方・使い分けのポイントについて詳しく解説します。


ニキビ治療における外用薬の重要性

ニキビは、

  • 皮脂分泌の増加
  • 毛穴の詰まり(角化異常)
  • アクネ菌の増殖
  • 炎症反応

といった複数の要因が重なって発症します。そのため、ニキビ治療ではこれらを多方面から抑える治療が必要になります。外用薬は、ニキビ治療の基本かつ中心的な役割を担っており、軽症から重症まで幅広く使用されます。

べピオ(過酸化ベンゾイル)

べピオ(過酸化ベンゾイル)

べピオは、過酸化ベンゾイル(BPO:benzoyl peroxide)を主成分とするニキビ外用薬で、日本国内で最も処方されているニキビ治療薬です。

過酸化ベンゾイルには、

  • アクネ菌(ニキビ菌)を殺菌する作用
  • 毛穴の詰まりを改善する角質剥離作用(ピーリング作用)

があり、比較的即効性があるため、最初に処方されることが多い外用薬です。特に赤ニキビ(炎症性ニキビ)に強いことが特徴です。3ヶ月の使用で炎症性ニキビが72.7%減少したことが報告されています。

べピオの種類と使い分け

現在、べピオには以下の3種類があり、使い分けが可能です。

  • べピオゲル:ゲル状の塗り薬で、最初に登場した製剤です。さっぱりとした使用感で、夏場や皮脂が多い方、男性の方に好まれることが多い印象です。
  • べピオローション:乳液のような使用感で、保湿効果があり、べピオゲルより刺激が少ない製剤です。乾燥肌や肌が弱い方にもおすすめです。
  • べピオウォッシュゲル:洗い流すタイプのニキビ薬です。べピオゲルやローションで赤みや皮むけが出て使えなかった方や、胸・背中ニキビでお悩みの方に向いています。過酸化ベンゾイル濃度は5%と高く、塗布後5〜10分置いてから15秒以上洗い流して使用します。

注意点

赤み、皮むけ、かゆみなどの刺激性皮膚炎が起こることがあり、また100人に3人ほどの割合でまれにかぶれ(接触性皮膚炎)が生じることがあります。そのため、使い始めは狭い範囲から少量ずつ使用することをおすすめしています。

なお、最初は問題なく使用できていても、1ヶ月ほど経ってからかぶれ症状が出ることもあります。また、過酸化ベンゾイルには脱色作用があるため、衣服や寝具、髪の毛に付着すると脱色される可能性があり注意が必要です。

使い方

1日1回、夜の洗顔後に保湿を行い、ニキビができやすい場所に塗布します。顔全体に塗る方もいれば、頬など部分的に塗る方もいらっしゃいます。

ディフェリンゲル(アダパレン)

ディフェリンゲル(アダパレン)

ディフェリンゲルは、日本で最初に保険適用となったニキビ専用の塗り薬です。レチノールやトレチノインといったビタミンA誘導体(レチノイド)の一つで、角化調節作用により毛穴が詰まりにくい肌質へと改善していくお薬です。

さまざまなニキビに効果がありますが、特に白ニキビ(面ぽう・コメド)に効果が高いことが特徴です。

効果が安定して現れるまでには約3ヶ月以上の継続使用が必要です。3ヶ月使用することで炎症性ニキビが52.3%減ることが報告されています。

注意点と使い方

使い始めの2週間ほどは、赤みや皮むけ、かさかさとした乾燥が強く出ることがあります。使用を継続していくことで徐々に刺激が落ち着くことが多いため、

  • 1日おきに使用する
  • 週1回から使用を開始する

といった方法も有効です。

夜の洗顔後、保湿を行ってからニキビができやすい部位に塗布します。日本では保湿後に塗る方法が一般的ですが、海外では保湿前に塗ることもあり、効果は高まる一方で刺激が出やすくなるため、肌状態を見ながら順番を調整します。

ディフェリンゲルにはアダパレンゲルというジェネリック医薬品もあり、使い方や注意点は同様です。

デュアックゲル

デュアックゲル

デュアックゲルは、過酸化ベンゾイルと抗菌成分クリンダマイシンが配合されたニキビ外用薬です。べピオゲルとダラシンTゲルが混ざったようなお薬で、殺菌効果が高く、特に赤ニキビに即効性があります。

そのため、ぽつっとできた赤ニキビをできるだけ早く治したい方におすすめです。抗菌薬が含まれているため、耐性菌抑制の観点から使用期間は原則12週間以内が望ましいとされています。

使い方は、夜の保湿後にニキビができやすい部位に塗布します。副作用としては、べピオと同様に赤みやかゆみ、かさつきが出ることがあります。

エピデュオゲル

エピデュオゲル

エピデュオゲルは、過酸化ベンゾイルとアダパレンが配合されたニキビ外用薬で、保険適用内では最も効果が高い塗り薬とされています。

過酸化ベンゾイルによる殺菌作用・角質剥離作用と、アダパレンによる毛穴詰まり改善作用を同時に得ることができ、さまざまなニキビに効果があります。

一方で、効果が高い分、赤みや皮むけなどの刺激が強く、なかなか使えない方も少なくありません。べピオを使ってももう少し効果が欲しい場合、エピデュオに変更せず、べピオローションとディフェリンゲルを重ね塗りして効果を高める方法を選択することもあります。

アゼライン酸

アゼライン酸

アゼライン酸は、

  • 抗炎症作用
  • 皮脂分泌抑制
  • 毛穴詰まり抑制

を併せ持つ成分で、欧米では20%製剤がニキビ治療薬として使用されています。ニキビだけでなく、ニキビ跡の赤み、毛穴、酒さ・赤ら顔にも効果が期待できる点が特徴です。

刺激は比較的マイルドで、べピオやディフェリンが使えなかった方にも適しています。朝晩使用可能で、他の外用薬との併用も可能です。

トレチノイン

トレチノイン

トレチノインはビタミンA誘導体の一種で、ディフェリンと同じ系統のお薬です。海外では古くからニキビ治療に使用されていますが、日本では自費診療となります。

皮脂を抑える効果やターンオーバーを整える作用があり、ニキビだけでなく、毛穴・シワ・美白などのエイジングケア効果も期待できます。ディフェリンより刺激が強いため、慎重な使用が必要です。

タザロテン

タザロテン

タザロテンは最も作用の強いビタミンA誘導体(レチノイド)で、難治性ニキビや重症例に使用されることがあります。ニキビやシワへの効果が高い反面、赤みや皮むけなどの副作用も強いため、専門医の管理下での使用が必須です。エピデュオを使っても効果が不十分な場合に検討されることがあります。

抗菌薬の塗り薬

抗菌薬の塗り薬

抗菌薬の塗り薬には、

  • ダラシンTゲル・ローション(クリンダマイシン)
  • アクアチムクリーム・ローション・軟膏(ナジフロキサシン)
  • ゼビアックスローション・軟膏(オゼノキサシン)

などがあります。これらは特に赤ニキビに効果がありますが、白ニキビにはあまり効果は期待できません。抗菌薬であるため、長期使用は原則おすすめされず、症状が落ち着いたらべピオやディフェリンへ切り替えていくことが推奨されます。

抗真菌薬の塗り薬

抗真菌薬の塗り薬

マラセチア菌という真菌(カビ)がニキビの原因となることがあります。特に背中やデコルテに多く、マラセチア毛包炎と呼ばれる状態です。この場合、ニゾラール(ケトコナゾール)クリームやローションを使用することがあります。

ニキビの塗り薬を使う際のコツ

ニキビ外用薬は、

  • 少量から開始する
  • 継続使用(最低3ヶ月)
  • 適切な併用とステップアップ

が重要です。効果を実感するまで時間がかかるため、短期間で諦めないことが治療成功のポイントです。

外用薬は併用することで効果が高まることもありますが、べピオとトレチノインは相性が悪く、併用するとトレチノインの効果が落ちるため注意が必要です。

まとめ

ニキビ治療には、塗り薬、飲み薬、美容施術などさまざまな選択肢があります。その中でも、塗り薬は治療の中心となる重要な存在です。

ニキビの種類や肌質に合わせて外用薬を使い分け、継続して治療していくことがニキビ改善のポイントです。当院では皮膚科専門医が様々な工夫をしながら、ニキビ・ニキビ跡治療を行っています。ニキビでお悩みの方は、ぜひご相談ください。

参考資料・文献>

尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023[J1] 

Guidelines of care for the management of acne vulgaris[J2] 

川島 眞,佐藤伸一,古川福実ほか:過酸化ベンゾイルゲルの尋常性痤瘡を対象とした第 II/III 相臨床試験 プラセボ対照,ランダム化,二重盲検,並行群間比較,多施設共同試験.臨床医薬,2014;30:651―668[J3] 

Gollnick HP, Draelos Z, Glenn MJ, Rosoph LA, Kaszuba A, Cornelison R, Gore B, Liu Y, Graeber M; Adapalene-BPO Study Group. Adapalene-benzoyl peroxide, a unique fixed-dose combination topical gel for the treatment of acne vulgaris: a transatlantic, randomized, double-blind, controlled study in 1670 patients. Br J Dermatol. 2009 Nov;161(5):1180-9. PMID: 19466959.[J4] 

Cunliffe WJ, Poncet M, Loesche C, Verschoore M. A comparison of the efficacy and tolerability of adapalene 0.1% gel versus tretinoin 0.025% gel in patients with acne vulgaris: a meta-analysis of five randomized trials. Br J Dermatol. 1998 Oct;139 Suppl 52:48-56. PMID: 9990421.[J5] 

この記事を書いた人

上條 広章

上野御徒町ファラド皮膚科 院長

上條 広章(かみじょう ひろあき)

  • 資格
    • 医学博士(東京大学大学院医学系研究科)
    • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
    • 日本美容外科学会(JSAS)認定 美容外科専門医
    • 日本レーザー医学会専門医
  • 所属学会
    • 日本皮膚科学会
    • 日本美容外科学会(JSAS)
    • 日本美容皮膚科学会
    • 日本レーザー医学会
  • 受賞歴
    • 第7回日本皮膚悪性腫瘍学会賞(石原・池田賞)
    • 第20回マルホ研究賞
    • Poster Prize, 47th Annual Meeting of European Society for Dermatological Research

略歴

2012年 東京大学医学部医学科 卒業
2014年 藤枝市立総合病院 初期研修 修了
2014年 東京警察病院 皮膚科
2016年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
2019年 東京大学医学部附属病院 皮膚科 助教
アトピー性皮膚炎専門外来、皮膚悪性腫瘍専門外来、レーザー専門外来担当
2021年 都内大手美容外科 入職
2022年 都内大手美容外科 本院 部長
美容皮膚科治療監修を担当
2022年 上野御徒町ファラド皮膚科 開院
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